この動画、VVMの3セット目。当然、2を先にリリースしたが、2の最後に、俺のトークが入っていて、見返したら、なんか必要ないのでカット。カット版をリリース。で、2と3、アップロードの順番が入れ替わった。
「エリック ミモザ」
リールのインプロバイザーで知らない奴はいない。ソロギター。リールの現代舞踏家ジャンリュク カラメルの音楽担当。そして、俺のグループのパーマネントメンバーだ。忙しいのだ、彼は。
初めて会ったのは、前出のマルトリーでの俺のソロピアノコンサートの打ち上げでだ。終わって、お姉ちゃんたちと、いちゃついていた。別嬪のお姉さんが、「聴いてたら、なんか、悲しくなってきた。音が重くてとっても暗い」と、核心を突かれて、「へへへ」(根暗、鬱病、元自閉症の本質がばれた。本当に、暗い人間は、明るい道化になる。ヘンリ ミラー。人間のパラドックス)なんて、やっていたら、もうひとりのVVMのメンバー、前回書いたジャンリュックが俺のところへ連れてきた。「イサオ、紹介するよ。ギターのミモザだ。お前とやりたがっている」。
長身で物静かな奴。俺より十歳若い。「あっ、初めまして。へぇー、ギターやってんだ」って、聞いたら、穏やかな声で、「はい、まったくのメチャクチャのギターです」って返事をしたので、「ギター独学なんだ」「はい、まったくの自己流で、メチャクチャです」と笑った。ジャンリュックが、「イサオ、凄いギタリストなんだよ、彼は。リールで知らない奴はいない」。確かに、マルトリーのバーで、肩端から声を掛けられていた。「俺のライブハウスに出ない?」って聞いたら、「是非」。中略。ソロギターでってなった。
当日、仰け反った。まず、普段は穏やかなのに、ステージに上り、ほとんど、二秒後には、完全に自分の世界へ。俺もミュージッシャンの端くれ。この集中力は半端ではない。俺は、没入するのに十分ぐらいは掛かる。ピアノ弾きながら、後で、なに食おうかな、なんて考えていたり、一曲目、どういう風にエンディングして、二曲目、なににしようか、なんて感じで、指が段々暖まって来て、段々、ガイキチ(キチガイ)指数が高まり、唸り声、立ったり座ったり、この辺から忘我および自己陶酔の世界へ。プロは、自己陶酔はまずいという意見もあるが、キース ジャレットのファンだから、俺は感知しない。で、このミモザのそれは、凄いの一言。俺の仲間内でダントツ一位だ。このギタ中および忘我度。演奏は、もう、ご想像通り、見事の一言。ソロインプロバイザーの極地だ。ギターの阿部薫だ、本当。暗くはないけど。
この動画の中でも、彼のその一端が少しは出ている。でも、彼は、大変、真面目な奴なので、俺の世界一へたくそなペットとジャンリュックの詩を良く聴いている。見れば分かる。耳と性格が、大変にいいのだね。まっ、こんなの音楽じゃないというご意見も多々ある。それも、俺は理解できる。たとえば、俺のことを大嫌いだという奴がいても、全然、構わない。こちらも、そいつを大嫌いになればオアイコだ。ねぇ、ちょっと、付き合わない。あたし結婚してます。えっ、俺もだけど、オアイコじゃん。ちょっと、違うか、それとは。で、それでも、ミモザは俺にとっては天性のミュージッシャンだ。
ところで、あんまり私生活をばらしたくはないのだが、このエリック ミモザは、リールエレクトロニクス研究所の研究者なのだ。研究、郊外の一軒屋の大工仕事、家事、良き旦那であり、ふたりの娘さんの良きパパであり、ギタ中および.....。まぁー、忙しいのなんのって。
おまけに、テナーサックス。まったくの自己流。これが泣かせる。
ハーモニカ。これは、とてつもなく上手い。でも、自己流。
最近は、歌、自作の詩の朗読。
ジャンリュック カラメルの舞踏をリールワゼム文化センターへ見に行った。
通常は、現代美術展をする巨大なスペース。カラメルと、もうひとりの女性ダンサー。突然、奥からミモザが野球帽を被り、スケートボードに乗って、凄まじいスピードで出てきた(プロ級)。会場内をぐるぐる回り、ハタと止まり、テナーサックス。吹き終わると、現代舞踏についての講義を始め、終わるとギター。その間、ふたりのダンサーは、ぎくしゃくと踊っていた。いかした演出だった。
で、初めてミモザに会った時、「メチャクチャ?そうは言っても、ドレミぐらいは知ってんだろう」と、俺は冗談で言ったつもりだった。彼は、真顔で「知らない」と言った。天才だ、彼は。俺は、密かにフラッシュゴードンと呼んでいる。似ているのだ。
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