2013年11月10日日曜日

表現狂

十代後半、詩を書いていた。
二十代は、現代美術家。これは、私のオフィシャルな職業だった。
三十代は、小説を書いていたけれど、途中からピアノが入ってきた。
四十の時に、ピアノのプロ登録をした。小説は止めた。
ピアノ狂と化し、今日に至っている。

なんか、常に、自己顕示をし、表現をしていないと気が済まない体質である。
この表現狂体質、やはり、ゲイジュツカなのかも知れないけれど、どうでもええ。

で、どうして、ピアノにこれが集約して来たのか、私は良く分かっている。
以前にも書いたけれど、お客様がすぐ目の前にいる。同じ時間を同じ空間で共有している。
格好良く言うと、生きている時間を共有している。現在進行形である。そして、音は虚空へ次々と消えて行く。脳の記憶の中に、消えた音と共有した時間がレジスターされるだけである。

この他人、他者とこういう作業をしている。
これに熱く嵌ったのである。

ほほほほほっ、孤高のピアニストなぁーーーんて言ったって聴いて下さる方々がいなければ、
そもそも成立しない。片田舎の炭焼き小屋、肥たごの横にグランドピアノを設置し、牛さんたちへお聞かせする。無理がある。無人島で盛大なソロコンサートを開催する。聴いているのは、鮫とかクラゲとか亀とかイグアナとか巻貝。無理がある。サハラ砂漠の真ん中で弾いてみる。駱駝さんが通り過ぎるが、立ち止まってはくれない。無理がある。

りゃ、格好つけてよぉー、僕はひとりが好きなんだぁーなどと言ったところで、他人との関わり、接触がなければ、そもそも成立しない職種である。僕は、ニンゲンが嫌いだっ、嘘付きっ!



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