2013年8月9日金曜日

水泳訓練

以前、記事に書いたような書いてないような、記憶が曖昧。
俺は、二十三歳まで、金槌だった。泳げなかった。細かい理由は、今回は書かないけど、一言で言うと「水恐怖症」だったから。たぶん、自閉症、引き篭もり、鬱病、全部、同じことだけれど、それと呼応していたのだろう。分かり難いから、自閉症とします。で、それからの脱出とともに、並行して水泳を自力で覚えた。

当時は、フランスのボルドーに住んでいて、現代美術家という若い兄貴だった。
肩まで伸ばした長髪を、突然、坊主刈りにし、ボロ自転車で、毎日、プールへ通った。
当然、酒の量がぐぅーーーんと減った。ボロボロガリガリの体に、力、筋肉力のようなものが満ちてきた。最初は、ほとんど溺れているのと大差がなかったけれど、構いはしない。みっともない格好で、水と格闘した。いつしか、水の中に頭をつける事ができるようになった。

少しずつ少しずつ、水の体積への恐怖が消え始めて行った。
同時に、人と会うことへの恐怖も消え始めて行った。
どのように心の中で繋がっているのか、今以て、よく分からない。

たぶん、半年後ぐらいだったのだろう。
平泳ぎ、クロール、背泳ぎ、バタフライ、飛び込み、なんでもござれの状態になった。

三十年前の八月。
豪雨。雷。空は真っ黒だった。
俺は海水パンツ、水中眼鏡。そのまんまの格好でボロ自転車に乗った。

受付のおばさんしかいない屋外プール。
当然、プールには俺だけだった。
豪雨で波打つプール。

俺は、悠々とひとりで泳いだ。
なんか、体ひとつで、世界と対峙している実感。
ひとつの覚醒感に包まれた。






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