日本での、なんらかのパーティー。コンサートの打ち上げではない。こっちは、居酒屋なの。
時々、俺は、たまたまお隣に座ったおば様の餌食になることがある。
俺は、じっとしていると穏やかな紳士のおじ様に見えるので、話し掛け易いのだろう。
しかも、おフランス野郎だ。レディーファースト、会食時のマナー等は、当然、血肉化している。
でも、なんでフランスに住んでいると、ちょっと、オカマぽくなるのかしら?男らしい感じになり難いのだね。フランス語もそうだ。
フランスに派遣されている刑事さんに、お会いしたことがある。
角刈りのごつい感じ。なぜか、フランス語が大変に流暢。日本語で電話をする時は、「はっ、はい、畏まりました。了解致しました」と、はきはき。フランス語になると、まったく同じ男らしい動作のまま、「アッ ボン(あっそ)」「ウイウイ(はいはい)」「セ ブレ?(本当?)」。動作とフランス語の音があまりにミスマッチだった。
で、このおば様たちの、お話。音楽のフレーズのように、良く覚えている。
以下、本文は、そのまま。で、()付きの部分のところが、ちょっと小声、早口になっている部分。楽譜でいうと、音符の旗が非常に多いとこ。ピアニッシモ=小声、早口、滑らかに。
「うちの馬鹿息子、(OOOに行ってるんですけど)、なんか、ボロ車買って、(OOOなんですけど)、なんていうもんだから、内の主人も、甘いんですよ、ぽぉーんと、(OOOなんですけど)、買っちゃったりして、困ったもんだわ、本当に」
「へぇー、息子さん、OOOなんですか?優秀ですねぇー」
「いや、遊んでばっかりでぇー、(OOO学部ですけど)、なに考えてんだか」
「へぇー、OOO学部っ。半端じゃないですねぇー。OOO大入るより大変ですよ」
「いやぁー、内のが入れる程度で...(ご近所の奥様方も、そう、おっしゃいますけど)」
「いやぁー、大した、息子さんですねぇー」
「そうそう、内の娘が、アメリカ人と、(大富豪の)、と一緒になりましてねぇー、ニューヨークのマンハッタン?っていうんですか、(一等地ですけど)、アパートを買いましてねぇー、(ビルの、ワンフロアー全部)、あまり、広いお家も、お掃除大変よっていったら、お母さん、そんなのメイドがやるから関係ないわよって、ほほほほほ、嫌ですわねぇー、貧乏人は。ほほほほほ」
「マンハッタン、ビルのワンフロアー。ひえぇーーー、億ションなんてレベルじゃないですよ、それ」
「なぁーーーに、あまり広い、(600m2)、も、寒々していて.....」
なんていうセッションをやる。
周りのおば様方の、やや、不快そうな顔。
俺は、まったく嫌いではない。面白いので、音楽として聞いている節がある。
で、俺のピアノ奏法の特徴のひとつに、装飾音の多用と早弾きがある。
まさに、そっくりなのだ、それに。
もとのメロディーの合間に、ちゃらちゃらとこけおどし装飾音を多用する。しかも、凄い早弾き。
しみじみ、奏法とすると、良く似ている。
まあ、唯一違うところは、俺は、自分の自慢話をしている。
そこだけね。
でも、原点は、同じ、なのだ。
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